フランス車が今日本でプチ流行る理由
フランスの車が日本で好調のようです。
ちょっと前までフランスの車を街で見ることは本当に少なかった。
ヨーロッパの車というと、まずは性能抜群のドイツ、スポーツカーのイタリア、高級セダンのイギリス、機能主義的なスウェーデン。
国によって個性が強くそれぞれの顧客層で根強いファンが日本にも多いのに、フランス車だけはあまり人気がありませんでした。
理由は明確で、フランス車はヨーロッパにおける大衆車メーカーで個性が乏しかったためです。
日本人にとって大衆車は当然日本車なので、わざわざヨーロッパの大衆車を買う興味が持てなかったわけです。
映画監督の伊丹十三さんがフランスに遊学していた若きし頃の思い出のエッセイで、フランス車について(今から50年以上前であるけれども)とても的を得たことを言っています。つまり、フランスの車というのは、富や地位の象徴でもなければ、動くアクセサリーでもない、フランス人にとって最も大切な夏休み「ヴァカンス」の旅行道具を運ぶ「動く運搬車」だというのです。だから座席は狭い、モノは運べないスポーツカーはもってのほか、無駄に装飾する必要もないわけです。
そして、伊丹監督はやっぱりフランス人は「ケチ」だと言っています。非常に勘定に細かい。無駄が大嫌いで理詰め。よく言えば合理主義、権利と平等を大事にする小市民(プチブル)。
そうなると、ルノーやプジョーといった無駄の少ない小型車ができあがるわけです。
で、なんで今の日本でこれがプチブームになっているのか。
今の日本の若い世代がちょっとフランス人化しているんですね。
無駄遣いが嫌い。イケイケの時代が過ぎ、シンプルライフが理想ではなくて実践する時代になってきた。中国を筆頭とするアジアの新興国の若者の浪費や消費社会よりヨーロッパの若者の質素な感覚の方が共感できる時代になっているんですね。
だから「フランス人は10着した服を持たない」なんて本も売れちゃうわけです。
こんなことを書いている自分も10代の頃はドイツ車やイタリア車ばかりでフランスの車なんで見向きもしていませんでしたが、今はとってもいいなーと思っています。
今の時代、ドイツ車やイタリア車で見せびらかすのはダサいとさえ思います。
ちょっと控えめにフランス車を選択肢にいれるのはどうでしょうか。